キャラバン

チェアキャブ

チェアキャブ

日産キャラバン チェアキャブ

開発者インタビュー

お客さまに安心して使っていただくのはもちろん、
使いやすさにもこだわった車いす固定装置。
これまでに培った福祉車両の”ものづくり”へのこだわり、ノウハウを日産キャラバン チェアキャブ(車いす仕様車)に注ぎこみました。

キャラバン チェアキャブ

1978年に日産キャラバンに「チェアキャブ(車いす仕様車)」が誕生してから43年。
ベース車の日産キャラバンの進化はもちろん、福祉車両「車いす仕様車」としても進化をとげてきました。
車いす仕様車は、車いすの方がそのまま車内に乗り込めそのまま目的地へと移動ができる車です。そのため、車いす仕様車(ここではキャラバン チェアキャブ)に必須な装備は、車内に乗り込むためのリフター、車いすを車内でしっかり安全に固定する装置が必要となります。今回は、この必須装備の「車いすを固定する装置=車いす固定装置」を大幅に改良し、これまで以上に使いやすく、また多くの車いすを固定できるようにしました。
この車いす固定装置の開発を担当した安西 里奈に、開発の経緯やこだわりを聞きました。


多くのユーザーからの声がきっかけで開発が始まった。

  • キャラバンにチェアキャブ(車いす仕様車)が誕生してから、これまでに多くのお客さまにチェアキャブを使っていただいています。お使いになっているお客さまからは、「車いす固定装置はフックを2か所掛けるだけで簡単に固定できる」という声を数多くいただく一方で、「特殊な形状の車いすだと簡単に2点固定できない、手動のベルトで固定する作業が大変」というお声をいただくことが増え始めました。

    ここ最近、車いす種類も多岐に渡り、様々なフレーム形状の車いすが増えてきて、従来のように電動で2か所固定できないケースも出てきています。例えば、車いすのブレーキ関係の部品が固定フックを掛ける位置にあることで、電動固定フックが掛けられないケース。また、リクライニングタイプや大型の車いすでフレーム形状が特殊だったり、後ろに荷物や酸素吸入器などを載せるトレーがついていると、固定フックで2点固定できず手動固定ベルトで4か所固定しなければなりません。
    この手動のベルトで固定するには、非常に時間がかかっていました。

    こういった背景から「電動固定フックで様々な車いすを固定できるようにしたい」「もっと簡単に固定作業ができるようにしたい」と考え、社内で開発検討を始めました。

  • これまで採用していた車いす固定装置(旧型車)


固定フックの分離は簡単に、フックの形状にもこだわった。

  • まず私たちは、2か所にフックを掛けるだけで固定できる使い勝手の良い機能はそのままに、一体型のフックを必要な時に分割し4点固定できるよう、そして操作する方が簡単にフックを分離できることを目指しました。

    さらに、「フックの持ち手も握りやすい且つ車いすのフレームにかけやすい形状」「フックの分離は、ボタン形状を工夫し不用意にボタンに手がふれないようにする」ことも設計に折り込みました。

    フックが簡単に分離できる反面、フックが外れやすいのでは?と質問をいただくのですが、分離はラチェットレンチのソケット脱着機能と同じ構造としているので簡単に外れることはありません。

    フックが分離できることで、もう一つ使い勝手が良くなったことがあります。電動フックと手動ベルトを組み合わせて車いすが固定できるようになりました。これまで4か所手動ベルトで車いすを固定するには、とても時間がかかっていましたが半分を電動にすることで、時間も短縮できます。


固定フックはワイヤー式に、固定にかかる時間を短縮。

  • また、車いす固定装置の固定ベルトをワイヤー式に変更しました。
    ワイヤー式に変更することで、ストローク量が大幅に増えて、固定フックを車いすにかける範囲が広まり、固定できる車いすの種類が増えたほか、固定にかかる時間も短縮することができました。

    ワイヤー式の自動巻き取りにする反面、フックを持ち上げる力が必要とならないよう、ワイヤーを巻き取るゼンマイバネの力をチューニングを施し、極力軽くなるように設計しています。

  • 車いす固定装置(左:新型、中:旧型)、右:フックはワイヤー式に変更


フックを分離したまま、格納できるように。

  • これまで、固定フックを格納する部分にフタを設置し、車いすの脱輪やゴミなどが入らないようにしていましたが、その反面、車いすの足元にトレーがついているとフタが干渉して開かないといったことも起きていました。今回、フタをなくすことで、フックの取出しは楽になりますが、リフターの上を歩く時につまづいたり踏んでしまった時にガタつかないように、固定装置の形状を工夫しました。

    そして、もうひとつこだわったのは、フックを分離した状態でもそのまま格納できるようにすることです。フックを一体型に戻す作業をなくし、分離状態で格納できることで、スムーズな操作ができるようにしました。また、格納部分が表に出ていることでお手入れがしやすくなり、ゴミや砂ぼこりはハンディ掃除機などで簡単に掃除ができます。

    他にも、安心して車いすの固定操作をしていただくために「車いす固定スイッチ押し忘れ警告音」を採用しました。この警告音は、固定スイッチの押し忘れを防ぐためのもので、固定スイッチが押されるまで警告音でお知らせします。

  • 固定フックがすっきり格納、リフターはフラット状態に。


本当に使いやすい安心して使える商品にしたい。

  • 今回、車いす固定装置を中心に大幅に改良しましたが、キャラバン チェアキャブはベース車の特徴を活かし、広々とした室内、乗り降りしやすい大開口スライドドア、静かで揺れの少ない全自動リフターを装備し、さまざまな送迎に対応できるよう、豊富なバリエーションと乗り降りを楽にできるオプションをご用意しています。

    チェアキャブのプロジェクトチームのメンバーひとりひとりが「本当に使いやすい、そして安心して使える商品を作ろう」と気持ちを強く持って、開発してきた車いす固定装置です。お客さまに新しい車いす固定装置を使っていただけることをうれしく思います。

    今後も引き続き、お客さまの声に耳を傾け、福祉車両を開発していきたいと思います。

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