LVアンシャンテ レクチャー

車両への乗り込みや移動が、
とっても楽に行えます。古武術に学ぶ身体介助法(2)。岡田慎一郎さん[介護支援専門員・介護福祉士]

前号(No.28)で、古武術の「チカラ」を利用した介助法をご紹介したところ、多くの皆様から「試してみたい」といったお便りをいただきました。今回は、車いすからティーダアンシャンテ 助手席スライドアップシートおよびティーダの普通車への乗り込み方、セレナチェアキャブ内での車いすからセカンドシートへの移動法をご紹介します。

身体全体の「チカラ」を利用する

前号でも申し上げたように、古武術の「チカラ」は、一般的な筋力中心の「力」とは異なります。重力や身体の「構造」がもたらす、もともとあったのに気づかなかった全身の「チカラ」を利用することで、介助する側、介助される側双方に、大きな負担をかけずに介助をしようというのが「古武術介助法」です。

そのためには、特に背中の「チカラ」を意識することが大事です。うまくできているかどうかのチェックポイントは、相手にことばをかけながら、最初から最後まで介助が行えるかどうかです。筋力に頼って踏ん張ると、息が詰まって話しづらくなるからです。

介助方法の一つのヒントに

この介助法をマスターすれば、車両への乗り込みはもちろん、車いすから隣のシートへの移動など、これまでとかく「力」に頼っていた介助が、もっと楽に行えます。

とは言っても、これが正しい「古武術介助法」だ、といったものはありません。介助する方も、介助される方も一人ひとり、身体の大きさも違えば、障害の程度も違います。ここでご紹介した介助法はあくまでも私がやっている介助法です。これらを参考にして、皆さん自身がその場その場で、工夫しながら、問題を解決できるようになっていただければと思います。無理のない範囲で、少しずつお試しください。

こんなときには……!?
動画を見る

特に高齢の方などが、シートの定位置をずれて座ってしまった場合に移動させる介助法です。

[岡田慎一郎さん]

おかだ・しんいちろう●1972年生まれ。高校卒業後、身体障害者、高齢者施設の介護職員を経て介護講師を務める。従来の身体介助法に疑問を抱く中、武術研究家・甲野善紀氏が説く古武術の身体操法に感銘を受け、以後師事する。2005年の朝日カルチャーセンターでの講座開講以降、新聞、雑誌、テレビ等多くのメディアにおいて独自の身体介助法と発想法を展開し、話題を集めている。著書に『古武術介護入門』(医学書院)、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)がある。身長:167cm、体重55kg。

1.車いすの人を、ティーダアンシャンテ助手席スライドアップシートに乗せる
動画を見る
[1]

相手の正面に立ち、一歩踏み出す感じで右足を車いすの外側に配する。

[2]

相手の麻痺していない半身の脇の下(ここでは左半身の脇)に頭を入れ右手を相手の背中に、左手は腰に回す。

[3]

背中の右手の人差し指を立て、その指で自分の背後を指さすようなイメージで相手を支え、相手と一体となって立ち上がる。

[4]

体を回転し、相手と一体となったまま、助手席スライドアップシートに誘導するように移動する。

[5]

相手を助手席スライドアップシートに座らせ、脇の下から頭を抜いて、静かに体を支えながらきちんと座らせる。

[ポイント]

相手の脇の下に頭を入れ、右手を相手の背中に回し立ち上がるとき、相手の右足を左手で押さえることでひざ折れを防止する。そこを軸にして回転する。

2.車いすの人を、ティーダの普通車の助手席に乗せる
動画を見る
[1]

車いすからの移動距離が長いので、足は大きく広げ、相手の脇の下に頭を入れ右手を相手の背中に、左手は腰に回す。

[2]

相手の右足を左手で支え、相手の体を立ち上がらせ、自分の体へ体重移動させる。

[3]

体をすばやく回転させながら助手席へ移動させる。このとき相手をセンターピラーに接触させないように注意する。

[4]

相手の体をいったんシートの端に置き、その後脇の下に頭を入れたまま相手のお尻をシートの座面定位置に移動する。

[5]

左手で相手の両足を抱え、おしりを軸にして回転させ、車の正面に向きを正す。

3.車いすのまま車内に乗り込んだ後、車いすから隣のシートへ移動
動画を見る
[1]

自分の左足を相手の両足の下に入れる(写真上)。このとき、右足はひざをたたんで、隣のシート上に置く(写真下)。

[1]

左手で相手のひざの下を抱え、右手は背中に回す(写真上)。車いすのひじ掛けに背中があたらないように注意しながら、抱えたまま重心を移動する(写真下)。

[2]

相手を自分の左足に乗せ(写真上)、自分は後ろに倒れるような感じでバランスをとって移動させる。ネジをねじ込むような感じでしっかりと座らせる(写真下)。

photo: セレナアチェアキャブ スロープタイプ車いす1名セカンド仕様。 ※当車両のユーザー取材記事もぜひご覧ください。